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ラブ・ジェネレーション
** レポート **


第1話
「新しい自分と運命の恋に出会うとき」


Reported By No.100 MITSUKO


 

男は走っていた。

深夜の街中を走り抜けて駅に向かっていた。が、無情にも終電は出てしまった。

「嘘だろう・・・最低だ・・・そうだ!」と思いつくまでに、そんなに時間はかからなかった。

「もしもし?みどりちゃん?哲平ですけど・・・」と、女に電話するがあっさり切られ、途方にくれていた。
そこへ、目の前で車から放り出された女が、こちらへ歩いてきた。

 「大丈夫ですか?」
 「ね?どっかで会ったことない?」
 「雨も降ってきたし、ホテル行こう?」

(こんなんでついて来るかぁ?・・・それが、ついて来ちゃうんだよ、この女・・・)

作戦通りにホテルに誘い込んだ男、

すぐにでも行動を起こしたい気分だが、肝心の女の方ときたら、部屋に在ったカラオケに夢中だ。
迫る男に「そんなにやりたい?それしかないの、頭に?」と言う女。

(あたりまえじゃん!とは言わないが)
実行あるのみとばかり、シャワーを浴びて出てくるご機嫌な男。

(そのお姿で私の前に来てーーって感じで・・・バスタオルになりたいって・・・もう、だめ・・・)

 「♪ギャル食っていこう〜、上乗っていこう〜」(by puffy)しかし、女は寝ていた。それも高いびきで・・・。
 「(マイクを持って)握るもんが違うだろっつうの!最悪だぁ・・・」と、あきらめるしかない。

次の日の朝、フロントからの電話でたたき起こされ、女には逃げられ、窓から見る朝日が目にしみる。

(しかし、ほれぼれするねぇ、黒パン一丁の裸姿。目に焼き付いて離れないよ、もう・・・)

朝からさえないまま、仕事に向かうこの男こそ、片桐哲平、広告代理店のクリエイティブ課所属のバリバリやり手人間である。
だが、そんな時は悪い事が重なるもので、人事異動で「営業1課」に転属することになってしまった。

 「クリエイティブ課でバリバリにやっていたこの俺が?」
そんな気持ちのまま、とぼとぼと営業1課へ向かう哲平。

そこで、上司から開口一番 「スーツは紺、ワイシャツは白、ネクタイはレジメン、靴は黒で長髪は禁止、それと、それも(ピアス)。前の部署でちやほやされたことは忘れろ!目立とうとか個性を生かそうとか考えるのは今日で終わりだ。判ったな!」
と言われて、反撃しようにも言葉が出ない。

ただ、そこで予想外の人間に出会った。
昨日、一緒にホテルに行った女、上杉理子だった。

その日、もやもやした気持ちのまま、兄・荘一郎の仕事場を尋ねたが打ち明け出せず、自分の部屋に戻ってみても、どうしても晴れない。
そこへ、同級生だった吉本から電話がかかる。
スッチーとの合コンと昔の恋人・水原さなえが東京で仕事をしているという話だった。
早速早苗の仕事場へ顔を出す哲平だが、昔のことが思い出されて、会話もままならず、その後の合コンものれないまま終わった。

(「今日はアレだから、ちょっと・・・」なんてと言うセリフ、哲平だから様になるっつうの)

次の日、折角さなえと会う約束をしても、上司・黒崎課長の手伝いをしていたため大遅刻。
それだけでもショックなのに、ようやく会えたさなえは、兄の恋人だと判って二重のショック。

そのため、会社に置き忘れていた携帯電話を部屋まで届けてくれた理子に、学生時代のアルバムを見られ、思わず
「人にはな、大事に閉まっておきたい気持ちとか、他人に触られたくないもんとか、捨てられないもんとかあんだよ。 一生懸命やってきて、あきらめたくてもあきらめきれないものとかあんだよ」と怒鳴ってしまう。

「私だって(その気持ち)判るもん」と言い残し、理子が部屋から飛び出す。

気になって追いかける哲平。
理子にも、婚約破棄された辛い思い出があったのだ。

(今回は「眼」がものを言うというか、お松とにらみ合う回数の多いことっていったら・・・)

理子の「未練捨てましょ」ごっこにつき合って、2人でレインボーブリッジを歩きながら、それぞれの生き方を語り合う時間がゆっくりと過ぎていった。
理子の未練がましい素振りに業をいやし、哲平は理子の婚約指輪を海へ投げ捨てた・・・ふりをしたつもりが、本当に無くしてしまって、朝まで探すはめになる。

(ここでチラッと映る「硝子の林檎」って、ホテルにもあったような・・・)

案の定遅刻した哲平に、黒崎課長は容赦なく罵声を浴びせ倒す。
 「髪を切れ!!」
 「切りません!!」 
先輩達が課長を止めようとした時、理子が哲平の後ろを通りがかり、アッという間に縛っていた髪をジョキジョキ切ってしまった。

唖然とする哲平&上司一同。

「私があなたの代わりに、未練の元捨ててあげたよ」理子の言葉に、哲平は思い切って髪を短くした。

(ジョキって音がやけに耳に響いて、こちらまで「あぁぁ・・」って声が出ちゃいました。それに、怒って部屋を出て行く瞬間の顔&髪が忘れられないのよね)

今までの事を振っ切ったかのように、仕事に精を出す哲平の姿を見て、黒崎課長も理子も安心した様子。
帰りに待ち伏せしていた理子から、パンを渡された哲平の心の中には、新しい何かが生まれたような気がしていた。

(最後にフッと笑った顔が、実にいい!!一瞬も見逃せないよ)・・・

MITSUKO

 


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