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-1度目はストーリー、2度目はセリフや表情を。素敵なドラマは何度も楽しめる。-


このページは、No.1133 哉子がお伝えします。


★ 第10話 「悲劇」 

★☆ ストーリー

パズルで遊ぶ幼い頃の自分。途切れ途切れに聞こえる音楽。
響く銃声。「お父さん!」と叫ぶ幼い頃の自分。
涼は次々と蘇る記憶に愕然とした表情を浮かべ、敷居戸に身体を預けて廃屋の中を見つめた。

その頃、完三は、病院の事務員に、涼が尋ねてきたことを確認していた。

廃屋に取り残されたストーブとその横に転がるやかんを見たとき、再び涼の記憶が蘇る。

日の出署に出た完三は、杉田に、涼が25年前の男の子だったことを報告した。
杉田は、涼の名前がその男の子と違うことに疑問を持つ。
完三は、優子もそうしたように、どこかで名前を変えたのだろうと苦い表情を見せる。
何故今頃になって…。その疑問を口にした杉田に、完三は、何か気付いたのだろうと答えた。

なおも蘇る記憶。
倒れている父の奥にあるテレビ。そこには、拳銃を持つ若き日の完三が映し出されていた。
涼は、強い光を放つその目で、脳裏に映し出される記憶を見据えていた…。

イヤな胸騒ぎを感じて動揺して杉田に、「どうする?」と尋ねられたが、完三は、どうすることも出来ないと答えるしかなかった…。

自分の部屋に戻った涼を、優子が待っていた。
優子に行き先を尋ねられた涼は、絵の場所を探しに行っていたが見つからなかった、と答えた。
部屋に入った涼は、絵を再び冷蔵庫にしまい、小鳥の世話をする優子に完三のことを聞き始めた。
完三が警察に入る前に何をしていたか、という涼の問いに素直に答える優子。
昔は関西にいた家族が後に上京してうどん屋をしていたこと、完三は専門学校を経て警察官になったと言う。
何故そんなことを聞くのか不思議がる優子に相槌を打っただけで、さらに優子の子供の頃のアルバムを見たがる涼。
優子は、アルバムを探しておくことを約束して、その代わり…というわけでもないのだが、遊園地とかドライブとか”いかにもデート”というのを1度でいいからしてみたい、と口にした。
その願いに、1回と言わずこれからずっとそんな風にしていこうと優しく答えてくれた涼に、優子は、嬉しさ溢れる笑顔を見せた。

1人夜道を急ぐ杉田は背後に気配を感じて振り返るが、人影がないことを確認して再び歩き出すと、階段を昇ったところで、涼が待ち伏せしていた。
涼は、裕希がバイトするバーへ杉田を連れて行き、完三が25年前に何をしていたか聞き出そうとした。
杉田は、自分が警察に入る前のことだから知らないと答えた。
さらに、完三が人を殺していないかと直接的な切り口で尋ねられた杉田は、必死に動揺を押し隠して、はぐらかすように否定した。
後日、杉田はこの日のことを、食事の席で完三に報告した。

涼は再び小百合の部屋を訪れていた。
小百合が「必ず自分の許へ戻ってくると思っていた」と言いながら差し出したワインを、涼は黙って受け取った。

その頃、優子は自宅の棚から昔のアルバムを引っ張り出して思い出に浸っていた。

小百合とベッドを共にした涼は、柏木グループの裏社会とのつながりに期待して、拳銃を要求した。
それで寝たのか尋ねる小百合に、否定しながらも話はしやすくなるのでは…と思う胸の内をあっさり告白する涼。
涼のそんなとこが好きだと言って涼の身体にゆっくりを指を這わせる小百合は、妖しく笑って涼の要求を受け入れ、完三のことも調べておくと言った。

優子がアルバムを見ているところに酔った完三が帰宅した。
アルバムを広げて、「可愛いなぁ」と何度も口にしていた完三は、ふと思い出したように、警察を辞めてうどん屋になると宣言し、優子に、一緒にやりませんかと尋ねた。
そう尋ねながらも、次の瞬間には、優子に結婚を望む…かなりの泥酔状態だ。
再びアルバムに目を落として幼い優子の思い出を語っていたかと思ったら、バッタリと横になって花嫁姿の優子を想像しているようなことを口にしながら、寝てしまった完三。
優子は、そんな完三の言葉を、切ない表情をうかべながら、じっと聞いていた。

翌日、由紀に付き添って病院に来ていた。
ほとんど回復して、完三に笑顔を向ける由紀は、三田の女子大生殺人事件のことを話し始めた。
由紀が犯行に及んだのは、「あいつさえいなければ、おまえといられるのに」と言った涼の言葉がきっかけだった。
涼と別れさせようと女子大生のマンションへ行ったが、逆に女子大生から侮蔑の言葉を浴びせられた由紀は、衝動的に女子大生を殺して、涼と一緒に自殺に見せかける工作したことを告白した。
由紀の話を聞いていた完三は、涼は、金目的ではない人を操るゲームを繰り返す、人を傷つけることで自分の存在価値を見出す心の壊れた人間だと語った。

涼は、小百合から拳銃を受け取った。
それを手に車から降りた涼は、ボンネットに腰を下ろし、拳銃が綺麗なのは人を殺す道具だからと言った。
返事の代わりに微笑みを見せた小百合は、その拳銃で誰をころすのか尋ねた。
涼は、その問いには答えず、ボンネットに横たわって、仰いだ空に向けて銃声を浴びせた。

全てを告白した由紀は、自首するという気持ちを言葉にしようとするが、完三に止められた。
完全に回復していない由紀を、普通の人でも辛いだろう警察の取り調べに向かわせたくないという完三の配慮だった。
元気になったら一緒に行こうと言ってくれた完三を見て、由紀の表情が和む。
完三が見せる優しさを感じ、広い海のような温かい毛布のような完三の心の真ん中にいたいと言うほど、由紀は完三に心を開いていくのだった。

涼は、堂島家を探し当てインターホンを鳴らした。
出てきた優子は驚いて、一旦外に出ようとするが、不思議そうな顔をする涼との間に柔らかな空気が流れたのに完三がいないのも手伝って、家の中へ迎え入れた。
優子は「会いたくて」と言って突然訪ねられる状況が初めてだと嬉しそうに話しながらコーヒーをいれる準備をした。
優子と話しながら家の中を見回して、あったかくてホッとする家の雰囲気が”らしい”と言ってくれた涼の言葉に、優子は益々嬉しそうな表情を見せて、探してあったアルバムを涼に見せた。
2人なごやかにアルバムを見ていたが、沸騰した音を出すやかんに呼ばれた優子が台所へ行った。
そのとき、涼が冷たい飲み物が欲しいと言ったので、外に買いに出ることにした。
優子が家を出るのを確認して、涼は、優子がアルバムを出した棚を調べ始める。
棚に収められたものを出していくうち、若かりし完三の写真が入っている缶を見つけた。
さらに缶の中を探ると完三宛ての封書が出てきた。
封筒には、涼が尋ねた病院の名前が印刷されていて、素早く取り出した便箋に目を落とす涼。
それは、完三へ「沢田省吾」のカルテが見つからなかったことを知らせる事務の女性からの手紙だった。

その夜、食事の準備をしていた完三は、冷蔵庫の中に見慣れぬ飲み物が入っていることに気付き、来客があったのか優子に尋ねた。
優子は自分が飲みたかったと嘘をつきながら、食卓に置きっぱなしになっていたアルバムを持って自分の部屋へ向かった。
食事の準備を続ける完三は、今度は、開けたままになっている棚を見つけて、その中を探られた気配に気付いた。

深夜の刑事課に忍び込んだ涼は、完三の机を見つけ出し、荷物にまとめたダンボールの中を探っていった。
そこへ完三が現れる。
声を掛ける完三に答えることもなく、涼は、小百合からもらった拳銃を机の上に出した。
素人が持つものじゃないと言う完三に、今まで人殺してるの知ってるでしょ、と言って、涼は、黙々と弾倉に弾丸をつめ続ける。
人を殺したのではなく殺させたのだと、人を殺すほど根性すわってないと、涼を見下す完三。
それを聞いた涼は、弾丸をつめるのを止めて、じゃ打ってみる?と、弾丸を1つ完三に放り投げた。
受け取った完三は、本物だということは分かっていると弾丸を投げ返して、どうすればいいのか涼に尋ねた。
涼は、間髪入れずに「人殺し」と完三に言葉を投げた。
そして、涼は話し始める。まるでおとぎ話でも話すかのように、蘇った記憶の全てを。
撃ち殺された父を、家族を、幸せだった5才の頃を返せ、と訴え、何故父親を殺したか尋ねる涼に、完三は、涼の父親は殺人を犯していて、母親はそれ以前に男と逃げていたことを教えた。
完三が語る、自分の記憶とあまりにも違う両親の姿を信じることが出来ず、涼は声を荒げた。
しかし、完三は、金に困った涼の父親が金持ちの老婦人を殺して金を盗んだ、という真実を語る。
涼が嘘だと叫ぶ度、本当のことだと返す完三に、涼は、たまらず銃口を向けた。
どうしても完三の言うことを受け入れない涼を見て、拳銃を取ろうと静かに歩み寄る完三だったが、涼も同じように歩みを進めて距離を保つ。
そのとき、誰かが部屋のドアを開く音が響いた。遠ざかる足音。
完三は、机の上の湯のみ茶碗に手を掛けて押し出した。
床に落ちた茶碗の音に気付いた足音の主である警官が、刑事課に戻ってきた時には、もう涼の姿はどこにもなかった。

部屋に戻った涼は、すぐさま冷蔵庫から絵を取り出して、しばし見つめていたかと思うと、その絵を空にかざし銃口を向けた。
だが、引き金を引くことは出来ず、手の中で握りつぶした絵を無造作に投げて、1人肩を震わせるのであった。

小百合が完三の過去を調べ上げてきた。
「指名手配犯を警官が射殺」「警視庁正当防衛的で適切な職務執行」という見出しでまとめられた新聞記事のコピーを見た涼は、その記事に書かれた指名手配犯・沢田正一の息子が自分であることを小百合に確認する。
小百合はうなずき、完三を殺すのかと尋ねたが、涼は答えを濁す。
殺してあげてもいいよと持ちかける小百合に、涼は気持ちだけでいいと言って席を立つ。
優子に会いに行くのかと追求する小百合の言葉に、涼は自分のことも調べたのかと感心する。
優子への愛を見透かす小百合に、涼は、調査の礼だけ言ってその場を去ろうとしたが、小百合に呼びとめられた。
涼がもう1つ大事なことを知らないと告げる小百合。
涼は、今度会うときにとっておいてと言って小百合と別れた。

遊園地で涼を待つ優子。
遅れてきた涼は、走り抜ける子供の風船が顔に当たったことさえも嬉しそうにたたずむ優子を見つけて、思わず顔をほころばせた。
色んな乗り物に乗り、かき氷片手に遊園地の中を2人歩いたり、思う存分楽しい時間をすごした。

珍しく楽しそうな涼を見て別人みたいと驚く優子に、涼は、優子にあって心が解放されたのだと語り、自分にとって優子がとてつもなく大きな存在であることを告白した。
優子は、涼の真正面からの告白に照れて、沸騰しているやかんの火を止めに行った。
優子を後ろから抱きしめた涼は、一緒に暮らして家族を作ろうかと語る優子に、幸せそうでいいねと答えて、優しいキスを贈る。
ふと鏡を見た優子は、涼と自分の火傷がつながって見えることに気づいて微笑む。
そして、涼から離れ、言ってないことが1つあったと、完三と血のつながりがないことを告白した。
血液型を調べて分かったことで、完三が黙っているから、可哀想だから、尋ねたりせず騙されてあげると言う優子。
そのとき、背を向けて告白する優子に気を取られた涼が、持っていたやかんを転がしてしまい、湯を浴びた手を痛そうにおさえた。
優子は慌てながらも冷静に、大丈夫と強がる涼の手を水の中へ押し入れて、薬を買ってくると言って外ヘ出て行った。
手を冷やしながら、再びフラッシュバックに襲われた涼は、蒸気の音と共に、幼いながらも慈しみの目を向けながらパズルを楽しむ自分を思い出し、顔を歪める。
さらに頭に浮かんだ記憶の中には、自分と一緒にパズルを楽しむ子供が居た。
そして響く銃声。
「お父さん!」と叫ぶ記憶の先に、自分の横で敷居戸が開いて顔を覗かせる女の子を見て、それが幼い頃の優子であることに気づいて驚愕する涼。
記憶の中の女の子は、敷居戸を越えて歩き出したがストーブにつまづいて転ぶ。
その拍子に落下するやかん。

その頃自宅でうたた寝していた完三は、悪夢にうなされ飛び起きていた。
優子は、薬局で薬を買って、帰り道を急ぐ。
優子の帰りを待つ完三が広げたアルバムには涼が記憶の中で見た女の子が笑っていた。

記憶が蘇った涼は、重い足取りで冷蔵庫にたどり着き、中から絵を取り出した。
涼は冷蔵庫を支えにしゃがみ、手の中の絵を見ながら、広がる絶望に苦悩の表情を浮かべた。
そして、空を仰ぎ、その瞳に涙を溜めながら「妹かよ…」と声をしぼり出した。

涼が驚愕の記憶に打ち震えているのも知らずに、優子は、ただひたすらに涼の許へ走り続けていた…。
 

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