赤外線探知器官、ピット
[赤外線探知器官]![]() ピットはマムシ類では鼻孔と眼の中間に、そのほかの種類では唇の付近に「窪み」が二つあって 、あたかも鼻孔が余分にあるように見えますが、ピットを持つ毒蛇( Pit Viper )のことを南米の一部の地域では、「クアトロ・ナトリセス、四つの鼻孔」と呼ぶこともあります。写真はガラガラ蛇の頭部ですがクリックすると、赤い印で囲ったピットが見えます。 初めて動物学者がこの孔に気が付いた時には、嗅覚の補助器官だとか、蛇には耳がないので聴覚器官ではないかと考えました。実はピットが赤外線探知器官であることが判明したのはかなり遅く、1950年代になってからでした。
[その実験]アメリカの神経生理学者のブロックが行った実験によれば、ハツカネズミを12匹入れたガラス容器の中に「ピット」を粘着テープで塞いだガラガラを1匹入れたところ、5日経ってもネズミたちは元気でした。次の実験では蛇の眼だけを粘着テープで目隠しをして、口の中に味覚と嗅覚を麻痺させる科学物質(麻酔薬)を吹き込んでから容器に入れたところ、ガラガラ蛇は逃げまどうハツカネズミを正確に攻撃し、12匹を全部殺しました。つまり眼を塞がれてもピットが塞がれない限り、ネズミを襲い捕らえることに支障ありませんでした。これにより赤外線による「第二の眼」が、捕食する際の重要な道具であることが判明しました。人間が感知できる光の波長は0.4〜0.8マイクロメートルの範囲だけで、波長がそれよりも短い紫外線も長い赤外線も感知できません。しかしガラガラ蛇は波長がその10倍を超える赤外線を、ピットで感知することができるのです。
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