この気持ちは、恋にも、愛にも、憎しみにも、このこころにある感情と呼ばれる総てのものに似ていて、



それなのにそのどれにも当て嵌まるものがないと、漠然とそれだけを思う。




君に向けるこのおもいは、



恋という可愛いだけのものでなく、


愛なんて綺麗なものでもなく、


憎しみという激しいものでない、



君に向かうこのおもいは、




甘やかしたいと思う、冷たくしたいと思う。
この手で背中を押してやりたいと思うのに、同じ手で引き摺り堕としてやりたいと思う。
包み込むように優しく抱きたいと願いながら、本能のまま抱き殺してしまえたら、と願う。




恋でなく、愛でなく、憎しみでなく、
君にだけ向かうこのおもいは、


このこころのなかにある気持ちのどれにも似ず、総てに似ている。




矛盾はけれど、甘やかな、





それはただ、ただひとつきりのこころのすべてが、きみだけに向かっていると、




多分、それだけのことなのだろう。








今はまだ、互いに気付かないふりをしているだけの、ほんとうのこころは。