きみが居ないと生きていけない。
そんなの、冗談じゃない。
もしもきみを失ったとしても、この世界で。
きっと変わらずに生きていく。
ただ、たったひとつ、この胸に。
決して埋まらない大きな穴が空くだけだ。
そう、たったそれだけの、ただ、それだけのこと。




+恋をする、おなじつよさで。




「馬鹿なこと言ってんじゃないよ、おチビのくせに」
愛してる、アンタがいないと生きていけない。
そんなことをキミが言う度に、信じられなくて、嫌になる。
だってそうじゃん。
オレがいなくたって、世界は同じように回っていく。
そりゃあね、そりゃあ、キミが少しは悲しんでくれればいいと思う。
でもね、もしオレがキミの目の前から消えたとしても、少しだけ悲しんで。
そしたらその後は、しあわせに笑っていて欲しいと思う。
キミの中に埋まる事のない穴を空けるオレの事を少しだけ悲しんで。
そうしたら、それで十分だと思うのに。
どうして、伝わらないんだろう?




アンタが居ないと生きていけない。
ねえ、それってそんなに可笑しな事なの?
もしアンタを失ったら、この世界で。
何もかも、今までの風景が、世界が変わって見える。
アンタが居ない風景、死んだ世界。
ただそれだけの、それだけの事かもしれないけれど。





「馬鹿なこと、じゃないっすよ、…俺にとっては」
誰かを失って生きていけないなんて、あるわけないじゃん?
そんなことをアンタが口にする度に、信じたくない未来を見せつけられる気がして、嫌になる。
だってそうじゃない?
俺がいなくたって、アンタの世界は変わらないって事。
俺がいなくなっても、アンタは同じように笑って、何も変わらないって。
もし俺がアンタの目の前から消えたとしても、悲しんで、なんて言わないよ。
アンタが俺に笑いかけるみたいに、誰かに同じように笑いかけると思うのは、心が痛いけど。
それでもいい、しあわせでいてほしい気持ちは嘘じゃない。
でも、俺が居ない景色が、アンタの中で、少し位は違って見えるというなら。
そうしたら、それで十分だと思うのに。
なんで、伝わらないんだろう。



いつだって、キミと気持ちは重ならなくて。
いつだって、アンタの気持ちが遠いと感じて。
でも、それでも。



それでも、たったひとつだけ、お互い同じ気持ちがある事を知っている。
いっそ、笑えるくらいに、これだけは譲れない気持ちが。

「ホント、馬鹿だよねおチビは。…でも、でもさ」
「いつだって何もわかってくれないよね、英二先輩は。…でも、それでも」




これだけは、たったひとつ。
------------------それでも。
キミが。
こんなにも。




「…好きだよ、おチビ」
「…好きです、英二先輩」




強く、強く、自分の中だけでひっそりと想うこと。
この気持ちはどこまでも一方通行でしかなくて、だから。
どちらが強く想っているかなんて、比べるのは馬鹿馬鹿しいこと。
お互い、違う想いだけが、この胸に。
おなじ、つよさで。
それだけわかっていれば、いいと願った。

ただ、ひたむきに、そう願った。



どこまでも一方通行な、この恋のなか。